「ね。日誌にどんなこと書いたの?」




雨森の脇に挟まれた日誌をぐいぐい引っ張りながらわたしは投げ掛けた。




「んー。恋愛相談、みたいな? 大人にだから話せることもあるし。あ、見せねーかんな!」


「チェッ。つまんないのー」




わたしのことを待たせたんだからちょっとくらいいいじゃない。


それに、変態ギタリストがどんな恋愛をしているのか気になるじゃん。


まあいいや。明日日直の子に、日誌を見せてもらおうっと。




…それにしても。


「へぇー。好きな人がいるんだ、へぇー」


「うっせ! ニヤニヤすんな、バカ。 なかなか落ちないから超困ってんだよ」




キャラメル色の髪をガシガシと恥ずかしそうに掻く雨森。


かわいいとこあるなあ、なんて思ったり。