土と混ざって茶色くなった道端の雪が完全に溶け切った頃。
「ねー。まだぁ? わたし、早く部活行きたいんだけどっ」
「んー、ちょっと待って。寺ちょんにメッセージを書いてるから」
放課後、隣人の雨森センとの日直。
彼は日誌を書くのに必死になっていた。
“日直所見欄”に書く一言メッセージ。
日直の生徒がそこに書いたことに対して、
毎日担任の寺ちょんこと寺尾(てらお)先生が返事をしてくれるんだ。
いわば交換日記みたいなもの(他の生徒にも見られてしまうけど)。
雨森いわく、寺ちょんは痛快なボケをかましてくるからそれが好きなんだとか。
生徒への愛を感じるんだってさ。