「じ、実は彼とお付き合いしているんです。とってもヤキモチ妬きだから早く帰った方がいいかも~、アハハ~」
「クッソ~! もう恋なんてしない!」
わたしのセリフを聞くやいなや、タケル先輩は風のように去って行った。
…あの、有名な歌のワンフレーズを叫びながら。
さすが、全国4位のスプリンター。
スピードが東高の陸上部と比にならない。
「へへっ。スーパーヒーローセン、参上!」
隣のアホは、かなり遅めの登場文句を言っている。
「えと…。ありがとう?」
「ふはっ。疑問形かよ」
「だって…」
粘着性のあるタケル先輩を帰らせる口実のフェイクだったとはいえ、先輩を傷つけたことに変わりはないんだ。
それに、気持ちによって走りが左右されるのは身に染みてよーくわかっているから、責任も感じる。
ごめんね、タケル先輩。

