「まあ、いっか」
そう言って雨森はわたしから離れた。
遠ざかった甘い香りがちょっぴりさみしい。
──さみしい?
いやいやいやいやいやいや! 記録更新に浮かれたわたしの勘違いだ!
うん。そうだ。勘違いだ。
「あっ。今お家に茜ちゃんはいる? 話したいことがあるんだよね」
「…茜か?」
雨森は少し嫌そうな表情をした。
あれ、ふたりは仲良し兄妹なんじゃなかったっけ。
それともわたしが何か気にさわるようなことを言ってしまったのかな。
そんなことを思い巡らせていると雨森は次の瞬間にはいつも通りの顔に戻っていた。
…あれ?
「あー。アイツ…、茜は今の時間は家にいないから帰ってくるまでうちで待ってる?」
「いいの!?」
「うん。きっと茜も喜ぶよ」
わたしは雨森家に急遽伺うことに。
…部活帰りだからばっちりすっぴんのがっつりジャージ装着なんだけど、茜ちゃんは怒らないだろうか…。
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