そんな、休日の練習後。
「あれ、藤村?」
「雨森…!」
ギターケースを背負ったお姫様のお兄ちゃん、クラスメイトの雨森センと遭遇した。
「部活帰りか?」
「うん。雨森は…、バンド練習?」
「まあな。てか藤村、調子大丈夫か? いつもより元気なさそうに見えるけど…」
「えっ。超元気だよ。今日だって自己新更新したんだから」
「それはめでたいけどさァ…。ほんとに元気か? アヤシイ」
すると雨森はわたしの顔を覗いてきた。それも、かなりの至近距離で。
ち、近い。
左耳の2つのピアスが目の前で光っている。
雨森の吐息の甘い香りが鼻腔をくすぐる。
けれど、どこか落ち着く香り。

