「はーちゃん! 雪だよっ、雪!」


わたしが住む地域にしては珍しく、雪が降った。


大雪。校庭は一面の銀世界。


「そうだねー、雪だねー」


はーちゃんはわたしの興奮もさらりと流す。


雪のように冷たいよぅ…。




「どうしてそんなにクールなのさぁ~」


「だって、喜んでいられるのは今のうちじゃん。
葉月、氷った道ですってんころりんしたことあるから怖いんだよね…」


「な、なるほど」




そういうところが、運動音痴なはーちゃんらしい。


はーちゃんが転ぶ姿が目に浮かぶ。


こういうかわいらしいところが、男子は好きなんだろうなあ。




「まあでも、千早ちゃんは部活中止になるし、テンション上がるのもわからなくもないよ」




そうなんです。

電車が止まらないうちに帰りなさい、と部活が中止になったんです。