「あ、この傘…」
玄関の傘立てに、見覚えのある真っ赤な傘が刺さっていた。
変態紳士もとい変態ギタリストの雨森の傘だよね…?
「ん? どうかした?」
「わたしのクラスにこの傘使ってる人がいるんだけど、
もしかして茜ちゃんの好きな人って…」
「やだな、千早ちゃん。あたしが好きな人はそんな変か傘使わないよ」
「じゃあ何でここに?」
茜ちゃんはけだるそうに、でもセクシーに「はぁ」とため息をすると答えた。
「それは、あたしのクソ兄貴の傘だよ。あたしが好きな人はもっと純粋でまっすぐで…」
「クソ兄貴…って、えぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
「ちょ、千早ちゃんうるさい!」