「あんなやつなんかやめて、俺にしとけば?」
「………」
わたしが言われ慣れていないからなのか。
雨森が色んな女の子に同じような甘いセリフを
言っていると察しがつくからなのか。
どちらにせよ、とりあえず今のわたしの心の中は
ひたすら嫌悪感でいっぱいだ。
こんな言葉。
肝心の陸から言ってもらえなきゃ意味がないのに…。
「ま、とにかく。藤村は藤村らしく無理せずやってけばいいと俺は思うぞ」
雨森はこう言うと、わたしの頭をわさわさと撫でてから教室を去っていった。
もちろん、わたしは…。
「キャー! 藤村さんしっかりして!」
「千早、白目むいてる!」
当然のごとく失神し、保健室に運ばれたのでした。