「化粧してる?」
「シテマスシテマス、ナチュラルメイクヲ」
体の穴という穴から何かが出てきそうなのをこらえて、必死に答える。
あなたのイカした長い前髪がわたしの顔に触れそうだよ。
甘い香りの吐息はとっくに体内に摂取されてますよ。
ああ、動悸がするよ。
「へぇ。俺、化粧とかよくわかんないけど、なかなかいいと思うぜ」
甘い香りの吐息と共にこう一言を残し、雨森はわたしから離れた。
た、助かった…。
心臓がバクバクしてうるさいけど、気持ちは穏やかだった。
やっぱり誉められるのは、悪くないね。
陸の言う“女の子らしい子”にまた一歩近づけた気がする。
うふ。
藤村千早、乙女街道は順調に歩けているみたいです!
あと何歩で陸のところに行けるのかな。
うふふ。

