「千早ちゃん」
「ん?」
「キスしても…いい?」
呼ばれて振り向くと、目を潤ませて首をかしげる茜ちゃん。
──キュン
え、“キュン”?
ちょ、ちょっと待って! 茜ちゃんは女の子なんだから!
わたしも見た目はオトコオンナだけど、中身はいっぱしの恋する女の子なんだから!
「無言ってことは、肯定と解釈していいのかな、千早ちゃん」
「ちちちちち、違いますっ」
そんなやりとりをしているうちに、
どんどんわたしを壁の方に追いやっていく茜ちゃん。
「いいじゃん。高いよ? あたしの唇」
「それなら大切にしてください…」
こんな美少女にわたしのファーストキッスを奪ってもらえるなんて経験は、
めったにできないだろうけどやっぱり王子様にしてもらいたいのよ、わたしは。
「チッ」
舌打ち!? 舌打ちしたよね、今!
「まあ、いいや。行こうか」
「行くって、どちらへ?」
「決まってるじゃない。あたしのかわいさを千早ちゃんに見せてあげる」
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