「千早ちゃん。まだわからないの? この世界でお姫様はただひとり、あたしだけなんだよ?」
「さ、さいですか…」
そうでした。ええ、そうでしたね。
わたしがお姫様? いやいや、滅相もない。
お姫様は茜様だけでございます。
ドSで女王様でお姫様なのは、この世界では茜様だけでございます。
ナニコレ。わたし、召し使い? 下僕?
笑えないんだけどっ!
「というわけで、千早ちゃん。これにさっさと着替えて」
「は、はい…」
茜ちゃんも早く、あの真っ黒な例のコスチュームに着替えることをおすすめします。
…なんて、怖すぎて口が避けても言えないけど。
「うんうん。やっぱり千早ちゃんは磨けば光る原石だね。宝石には到底及ばないけど」
「さ、さいですか…」
貶すなら、最初からほめなくていいよ…。
お化粧によって別人のように変人したわたしは
鏡の中で苦笑いをしていた。

