手早く準備を済ませて茜ちゃんのお家のインターホンを鳴らすと、
やっぱり不機嫌そうな顔のお姫様が現れた。


でも、わたしの顔を見るなりにっこり笑って「千早ちゃんかわいいっ。早くあがって」と言って、抱きついてきたのです。


…あたしゃ、いつまで経ってもどうやってお姫様を扱えばいいのかわからないよ。


『岩石みたい』って貶したり、
『かわいいっ』ってほめたり。


気持ちが追い付かないよ。




「これに着替えて」


部屋に入るなり茜ちゃんに渡されたのは、まさかの、まさかの、まさかの…!


「ゴスロリさんだぁ!」


はじめまして、こんにちは。

藤村千早と申します!


「茜ちゃん、これっ。これっっ。着ていいの?」


「ふふ、気に入った? この系統のはこの子しか持ってなかったから良かった」


「もちろんだよーっ! これでお姫様に近づけるよぅ」


そして乙女街道まっしぐら!
陸にも近づける!