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い、いない! センが、いない!
校内を走ること十数分。
軽音部の部室から練習教室、普通教室までくまなくセンを探したけど、見つからない。
「どこかで行き違いになったのかな…」
部活帰りにセンの家に行けば済む話なのだけど、時間が経てば経つほど、わたしの勝手な暴走で嫉妬していた事実に恥ずかしくなる。
そして謝りにきくくなる。
だから、早く会いたいんだけどなあ…。
「あ! チーちゃんだ」
「ち、チーちゃん…?」
いつの間に現れたのか、目の前には小柄な男の人がわたしをチーちゃんと呼ぶ。
私服だから、卒業生か何かだろう。
目がくりくりしていて、女のわたしより女の子らしい顔をしている。
…にしてもチーちゃんて。
“チハヤ”の“チ”で、“チーちゃん”?
そんなかわいらしいあだ名は初めてだな。

