3年生の冬。
千早とケンカした。
学校公認(実際はセンの思い込み)の、超ラブラブカップル(実際千早は淡白)の俺たちがケンカするなんて、神様もびっくりだ。
千早が俺の浮気を疑ったのが始まり。
『魚住さん、わたしと違って美人さんだもんね。しかも髪型は流行りのマッシュ。センと趣味が合いそうっ』
俺が同じ学年の魚住麻衣子(うおずみまいこ)と話していたのが、千早にはかなり親しげに見えたらしい。
『美人を目の前にして、鼻の下伸ばしちゃって』
何度も言うようだけど、俺は千早一筋だからどんな美人にもなびかれない自信がある。
…まあ、魚住は美人だと思うし、鼻の下くらいは伸びていたかもしれないけど。
とにかく俺は、浮気なんかしていないんだ!
完全に千早の勘違い。
魚住だって、年上の彼氏いるし。あり得ないっつーの。
そんなことより千早は淡白な方だから、嫉妬してくれるだなんて俺は嬉しいんだ。
てか、千早も嫉妬できるんだな。ちゃんと女の子じゃん。
事情を説明したいんだけど、ぷんぷんに怒った千早は俺の話を聞いてくれない。
はあ、困った。どうしようか…。
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