「その紙袋は? 俺にくれるんじゃないの?」
「献上いたしまする」
「うむ、苦しゅうない。そこへ座るがよい」
「ははぁ。かたじけない」
…なにこのやりとり。
なぜにわたしが平民?
どこぞの時代劇よ。時代劇なんて見たことないけど。
「うおっ、プリンじゃん!」
「苦手じゃない?」
「へへ、超得意」
雨森はニカッと少年のような顔で笑った。
よかった、とホッと胸を撫で下ろすと彼は礼儀正しく「いただきます」と手を合わせプリンを食べた。
茜ちゃんのお姫様っぷりにはどんな教育を受けてきたんだと思ったけど、ご両親からちゃんと愛されているんだなと感心したり。
「うんまい。それよりさ、何でプリン持ってこんな時間にウチに?」
雨森はそう言って「ごちそうさまでした」と、さっきと同じように礼儀正しく手を合わせた。
味の感想をひとつも聞いてないけど、まあいいや。プリンはまだあるし、後でたっぷり聞かせてもらおうじゃない。

