「なんか最近の千早、やけにかわいくなったから俺のためなのかなーってちょっとときめいた。なんだ、ときめき損かよ」
ん? 陸は冗談みたいに笑ったけど、それは聞き捨てならんぞ。
かわいくなった…?
ときめいた…?
元々、陸の彼女になるために始めたお姫様修行。
陸にそう言ってもらえて、嬉しくないわけがない。
わたしの努力は無駄ではなかったってことね!
「へへ、ありがと。嬉しいよ」
「バーカ。調子乗んな」
「…ギャッ!」
陸はいたずらっぽく笑うと、わたしの鎖骨と鎖骨の間からちょうどお腹くらいまでをさらりと撫でた。
「ったく、色気のカケラもない声出すなよ。ない胸触られたくらいで」
「な、ない胸言うなっ! 一回くたばれっ!」
「は? 俺は壁には欲情しねーよ」
「悪かったわね、壁で」