「今日もない乳揺らして走るのか?」
「あ? いっぺん黙りな、変態。」
「おうおう言ってくれんじゃん。好きな男にそんなこと言っていいのかー?」
彼女(暫定)がいるにも関わらず、ヘラヘラと喜ぶ陸。
軽いなぁ、陸は。
想われるのは、彼女(暫定)からだけでいいと思うよ、わたしは。
さんざんわたしを振り回しておいて、この態度はムカつく!
こんなヤツ、一瞬でも好きだと思ってしまったのが悔しい。
「あーごめん。そのことなんだけど、やっぱりわたし、陸のこと好きじゃなかったみたい、あは」
「はっ!? なにそれ! あれは嘘告白だったのか!?」
「いや、そーじゃないんだけど…」
嘘ではない。
陸のことを思って何度泣いたことか。
──…でも。
この恋は、
男に触れればじんましんが出てしまうアレルギー持ちのわたしが、陸に触れてもじんましんが出なかったことに対しての…
…幻想のようなもので。
つまり、虚像でまやかしだったってこと。
告白は嘘ではなかったけど、わたしの想い自体が偽物だったみたい。