ずいずい、にじりにじりと近づく雨森。
ぐっと歯に力を入れて目をつむったときだった。
「ていっ!」
「…へ?」
肩を押されたんだと思ったら、視界がぐるりとまわり、わたしはそばにあったソファーに倒れてしまった。
「俺、飯作る」
「いいっ! いいですいいです! ご飯くらいわたしが作るし!」
小さいときからお母さんのかわりにずっとご飯作ってきたんだもん。
勉強はちょこっと苦手だけど、家庭科の成績だけは小学生の頃からよかったし。
「バーカ。んなふらふらなお前に作らせられっかよ。おかゆでいいよな?」
雨森はため息まじりにそう言うと勝手にキッチンへと消えていった。
ねえ、ため息つきたいのはわたしの方なんだけど。

