すると彼女は腰まである黒い髪の毛に手をかけ、おもむろにそれを引っ張ったのだ。
そして、わたしの目に飛び込んできたのは、見覚えのある、キャラメル色だった。
「もう俺、我慢できない。
何で好きな子が他の男に傷つけられてるのをこんな近くで見てなきゃいけないんだよ!」
「茜ちゃ…」
「茜は存在しないんだよ! 俺は、センだ」
「え?」
一体それは、どういう意味?
だって茜ちゃんにメイクを教えてもらったし、
手を繋いでお出かけまでした。
そんな茜ちゃんが、存在しない?
「藤村にメイク教えたのも名取陸を諦めるなって言ったのも、俺だ!
自分が嫌いで嫌いで、女装してたんだよ。お前も、気づけよな!」

