わたしは女の子らしく涙を流す、なんて器用なことも出来ず、
冷えた廊下で卑屈なことを考えまいとこらえていた。
ねぇ、茜ちゃん。
わたし、どうすればいいのかな。
彼女(暫定)がいる人を振り向かせるなんて、そんな器用なこと、わたしにできるのかな。
「藤村…」
しばらくすると、雨森が戻ってきた。
「俺の家、来るか? しばらく待ってりゃ、茜も帰ってくるだろうし」
「でもわたし…部活あるし」
「あ? どーせ藤村、走れないだろ」
言われてみれば、確かにそうかもしれない。
今までは失恋の傷を紛らすために走ってきたけど、
もう、今日は走る気は起こらなそうだ。
「帰る…」
「ん。手でも繋いどく?」
「あは、繋げないっ!」
男性アレルギーがありますからね!
雨森が飛ばした冗談に、小さな優しさを感じた、
そんな、冬の日。
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