「し、白石?だよな。久しぶり。」

「神原君?あれ?私達どこかであったことあったけ?」





「...覚えてない?」

「ごめんなさい。えと...」


「10歳の時、ウィーンであった国際ピアノコンクールで会っただろう?」

「えっ!蓮くん?もしかしてあの時の蓮くん?」

「そうだよ。久しぶりだな。」

「すごい久しぶりだね。6年ぶりかな。」

「そうだな。お前コンクールに出てこなかったから、辞めたのかと思ったよ。」

「あっ。そうだよね。ちょっといろいろあって、お休みしてたの。」

「ふーん。でもお前に会えて良かったよ。」

「えっ!?なんで?」

私がそう問いかけたとき、車のクラクションがなった。

「田中さん。」

「お嬢様、遅くなってしまい申し訳ありません。」

「全然大丈夫よ。それより何かあったの?」

「まあ、それは車の中で。この方は?」

「神原蓮君。10歳の時国際ピアノコンクールに出てた子よ。」