-長樹ヒナ-
「ヒナ、今週は私出張で居ないから、今週は今日でお仕事おしまいよ。次のお仕事の日は来週の月曜になるから、明日からはゆっくりしててね。」
明日から由美香さんがいない。
だいぶ暇になるかな。
今までは友達と遊んだり女子の希望で放課後にライブをしてたけど、高校生になってからみんな部活で忙しいみたい。
勉強だってやる気ないし。
どうしようかな。
-次の日-朝-
鼻歌を歌いながら坂を登る。
時間はたっぷり寄り道してもいい位。
でも今日は日直の仕事があるのでまっすぐ学校へ行く。
いい天気だなぁ、と思い、空を見上げた時、
ドンッ
「うわっ、わりぃ、」
「あ、すすす、すいませんっ!」
背の高い、黒髪赤メッシュの男の人にぶつかった。
「ちょっとちょっとー、奈津ー、何してんのー、しっかり前見てー、」
「うっせ、」
その背の高い男の人の後ろにニット帽の人と色白の男の人もいた。
こ、怖い、
僕のぶつかった背の高い人は黒髪に赤のメッシュ。
よく見ればピアスまで。
怖い、
1つわかるのは同じ制服をきているので3人とも高校生らしい。
ニット帽の男の人は唇に真っ赤な口紅を塗っているように見える。
色白の人はシャツのボタンを3個くらい開けていて目元のほくろもセクシーだ。
3人ともヴィジュアル系ロックバンドにいそうなキャラだ。
唖然として3人を見上げていると、奈津、と呼ばれていた赤メッシュが僕の顔を覗き込んだ。
「つーか、お前、ヒナか?」
「えっ、」
「ほんとだー、噂、本当だったんだね、1年生にアイドルがいるって。」
どうやら3人は僕のことを知ってるみたい。
「えっと、はい、長樹ヒナです、」
『おー、』と3人は声を揃えた。
「っつー、事は、歌えるのかあれとか。」
「あれって何さ。」
「あれだよ、『恋する〜僕のこころ〜♪』とかゆー、女々しい歌詞。」
「え、えぇと、は、はい。」
「あー、あれね、絵瑠の好きなの。これか。」
途端に3人の目は輝いて6つの目はこっちに向けられた、
『ちょっと時間あるかな( ^ω^ )』