ざわついた教室に担任の声が響く。
「静かにしてください。投票の結果、女子は下川さん…」
「えー、やだっー。だるい!」
下川さんの甲高い声が聞こえる。でもその顔はどこか嬉しそうだった。
私、この人苦手なんだよな。もちろん、先ほど投票したのは下川さんではない。…投票の結果なら仕方ないけど。
先生は一息飲んで続けた。
「……男子は山名君になりました。二人共頑張ってくださいね」
そっか、委員長…山名君……。“仕方ない”と思いたいけど、思えない。距離が遠いばかりでなく、分厚い壁が現れた気がする。
山名君のこと嫌いになったほうが良いかもしれない。見てるだけの恋なんて、つらいだけだ。