気まぐれな君も好きだから

そう思っていたら、私が持っていた長傘を、いきなり古谷君が掴んだ。



「貸して。」



傘を開くと、黙って左腕を私の前に差し出す。

え? 何?

ポカンとして腕を見つめてしまっていたら、もう一度、私の身体の前に、肘を曲げた左腕を、グッとせり出して来た。



「早くしろよ。濡れちゃうじゃん。」

「え? あっ、うん。」



そうか、腕組んで欲しかったんだ。

何かカワイイ。 嬉しい。

そんなに降ってないけど、二人でいるなら、傘をさした方がいい。



傘を持った古谷君の腕に掴まって、ピッタリと寄り添って歩く。

気持ちを確かめ合った後だからなのか、こうしていると安心する。

着かず離れずの関係は、もうおしまい。

結ばれることはないけれど、ちゃんと心は繋がってる。



見上げるとすぐ近くに顔があるから、小さなドキドキも感じるけど、それよりも何よりも、こんなに長い間、私を見ていてくれた古谷君が愛しくて、胸がじんわり熱くなる。

そんなの無理ってわかってるのに、この手を離したくない、まだ帰りたくない、なんて思ってしまう。