気まぐれな君も好きだから

「遥希のお家はこの辺なの?」

「うん。」

「すごい所に住んでるんだね。」

「そう?」

「お父さん、何してる人なの?」

「和菓子屋。お母さんも一緒にやってる。」

「へぇ、いいなぁ。遥希はやらないの?」

「お姉ちゃんの旦那さんと兄貴がやってるから、俺は好きなことやっていいってずっと言われてたんだ。で、何しようかなって考えたら、お婆ちゃんといつも行ってた近所のスーパー、大好きだったなぁって思い出して、今の会社入った。」

「へぇ、そうなんだ。そう聞くと、何かイイ話だね。」

「そうかな。」



照れ臭そうにしてる遥希が、今までよりも、もっと可愛く見えた。

本当に温室育ちのピュアな子なんだな。

何だか遥希を騙してるみたいで、自分のしていることが、急にすごく悪いことのように思えて来る。



罪の意識に囚われ、胸が痛み出したところへ、注文していたお蕎麦と小鉢と茶碗蒸しのセットを、店員さんが運んで来た。

出汁のきいた上品な味を、別のセットを頼んでいた遥希と、シェアをしながらゆっくり味わう。



何だろう? この感じ。

上手く言えないけど、遥希といるとフワっとした温かい気持ちを感じる。

俊といる時には感じたことのない種類の「幸せ」だと思う。