気まぐれな君も好きだから

「今日、空いてる?」



いつもより何となく色っぽい声に、ドキっとしながら、黙って頷く。



「帰り、迎えに来ていい?」



嬉しいのを顔に出さないよう、気をつけながらまた頷く。



「じゃあ、メールする。」

「わかった。」



遥希はゆっくりと穏やかな笑みを浮かべると、発注POTを掴んで、階段を降りて行った。



基本、遥希は美形だから、今みたいな笑顔は反則。

普段はこれでもかとばかりに「カワイイ」推しで迫って来るだけに、たまに余裕有り気な大人っぽい表情を見せられると、変にドキドキしてしまう。



服装のせいもあるのかな。

私服を見るのは二回目だけど、あのくらいの年の男の子に有りがちなラフな「ジーンズにTシャツ」じゃなくて、オシャレ系。

今日も細身のパンツにキレイ目のシャツを着こなしている。



そう言えば、遥希のことって、あんまり細かい素性は知らないかも。

本人が、詳しくは言いたがらないのもあるんだけど。



遥希はいつも元気なくせに、細かい仕草に品の良さを感じさせることがある。

食事の仕方もキレイだし、いろんなマナーなんかを知っていたりする。

悪ふざけしたり、騒いだりもするけど、誰にでも優しいし、物腰が柔らかい。