気まぐれな君も好きだから

まだ20才か21才くらいだって噂だし、圧倒的に女子が多い商業高校の出身らしいから、そこそこカッコ良い年上のお兄さん達に一日中話しかけられるのが嬉しくて仕方ないのだろう。

それなら、しょうがないな.......とでも思わなきゃ、こっちはやっていられない。



知り合いやら同期やらがたまたまこの店にいただけなのに、私に男性社員がじゃれついて来るのが、とにかく気に入らないらしい。

彼女は、自分以外の女子社員がチヤホヤされているのが許せないのだ。

心の中ではどう思おうと自由だけど、事務所を任されている身なんだから、下らない感情を持ち込まないでほしい。



なんて子供相手に熱くなるのもアホらしいから、私は適当に流してるんだけど..........

運悪く、彼女が私を嫌う原因の一つが、向こうからやって来た。



「歩未さん、おっはよう。」

「おはよう。」



元気に挨拶してくれた仁科くんの手には、「初鰹」と書かれた店頭用POPがある。

この季節の魚屋さんには外せない、大事な売り込みアイテムだ。