気まぐれな君も好きだから

遥希がじわっと涙を浮かべながら、私をギュ~っと抱きしめた。

やめてよ、こんなところで恥ずかしいじゃん。

ま、終電間際で、あんまり人がいなかったから許してあげるけど.......



でも、そんなに私のこと、考えてくれたんだ。

自分の人生が変わっちゃうかもしれない選択なのに、転職する私のことを先に案じるなんて、ホントにバカ。

嬉しいけど、私が嫌って言ったらどうするつもりだったの?

そこだけはちょっと引っかかるけど、正直を言うと、遥希の質問に答えている時に気が付いてしまった。



遥希がお見合いさせられちゃうって思ったら、一瞬にして、仕事のことはどうでもよくなった。

夢を叶えるために必死だったはずなのに、遥希を失っちゃうくらいなら、そんなの簡単に諦められる気がした。



それほど大切なものを見つけられたんだから、結婚ってなんだろうなんて、難しいことはもう考えない。

自分より大切な人がいて、その人を守りたいから。

いなくなったら困るから。

ずっとそばにいたいから。

結婚する理由なんて、それだけで十分。

一緒にいれば、離れたくない理由は後からたくさん見つけられる。



「絶対、幸せにするからね。」

「うん。」

「でも、こんな所で勢いでプロポーズって、なんか嫌だから、後でもう一回ちゃんとする。」

「わかった。じゃあ、楽しみに待ってる。」

「うん!」



遥希は天使みたいな顔で笑って、私の頬にキスをした。