気まぐれな君も好きだから

ガチャっとドアを開け、中に入ると、玄関に俊の靴がある。

いるのかな? じゃあ、出てくれればいいいのに。

勝手に上がっちゃうけど、いいよね........



「何か忘れ物?」

「.....えっ?忘れ物?」


忘れ物って、なぁに?

私は今日、初めてここに来たんだけど。



「歩未!?」

「うん、そう。」



俊の恰好を見たら、聞かなくてもわかってしまった。

上半身は裸で、ベットに横たわったまま、すごい形相でこっちを見ている。



何だ。そういうことなんだ。

心配してあげてバカみたい。

私だって俊を責められるような立場じゃないけれど、電話くらい出てくれたっていいじゃない。

別れようと思ってたのに、現場を目の当たりにしてしまうと、さすがに嫉妬心も湧いて来る。



私は多分、相当冷たい目で俊を見ていたに違いない。

俊はカッコ良くて、隙がなくて、完璧で、誰にでも自慢できる最高の彼氏だと思っていた。

でも目の前でオロオロしている俊には、私が憧れていた「沢井さん」の面影も見当たらない。



あっけな過ぎて笑っちゃう。

今まで信じていた完璧な彼氏は、どこに行ってしまったんだろう。

嬉しそうに結婚の話をしていたのは嘘だったの?

ついこの間、少しでも長い時間一緒にいたいって言ったよね..........