気まぐれな君も好きだから

次の日、出社すると、私宛に俊から社内メール便が届いていた。

封を開けると中には鍵と地図が入っている。

これってまさか、新居の鍵?

お昼休みには「鍵は届いてるか」という内容の確認メールまでくれて、いたれりつくせり。

これじゃ、ここに行かずに済む訳がない。



とりあえず、今日は店長と小山君に転職する意志を伝えようと思っているから、それが先。

鍵のことは一旦忘れて、みんなに迷惑をかけないよう、きちんと話し合おう。

そう思って、鍵の入った封筒をバッグにしまった。



他の社員に聞こえないよう、店長室の扉を閉め、慎重に転職の意志を伝えると、あまりの唐突な話に、店長も小山君もとにかく驚いていた。

でも二人とも理解を示してくれた。

元々、二人は私の能力を買ってくれていたし、今回の部門編成変更で女子社員の居場所がなくなったこともわかってくれていた。

応援するから頑張れって言ってもらえて、益々やる気になれた。



赤部さんにも事情を話し、消化しきれていない有休を調べてもらうと、一か月近くある。

私って、今までこんなにこの会社に尽くして来たんだ。

何の評価ももらえなかったけど、賑やかなパートさん達に囲まれてずっと楽しかったし、この仕事が好きだった。

辞めるって決まると、やっぱりちょっと寂しくなる。