気まぐれな君も好きだから

遥希には言わなかったけど、正直なところ、今日の今日まで転職に少し迷いがあった。

新しい会社は今の会社みたいに、ふんわりとした温かい空気が流れている所ではない。

自分以外、周りはすべてライバル。

ギラギラした研ぎ澄まされた「やる気」に満ち溢れている。



入社すれば当然、私もその中で戦っていくことになる。

最初は味方もいないだろうし、怖くないと言ったら嘘になる。



それを決心させてくれたのは、古谷君の異動。

もう古谷君に気持ちが向いてしまうことはないと思うけど、一緒に働くのには勇気がいる。



だから、逃げるつもりはないけど、そこでクヨクヨするより新しい人生に向かって進むことを選ぼうと思った。

滅多にないチャンスを、自分の手で勝ち取ったんだから..........



次の日は、遥希が奮発して、夜は豪華なレストランを予約してくれた。

話したいことも沢山あるから、予約の時間までは遥希の部屋でのんびり過ごした。



映画のDVDを見ながら、じゃれあって、いっぱいキスをして、遥希が得意とする甘くて溶けそうな空間を作り出す。

そこに身を委ねるうち、だんだんカラダが疼き出し、どちらともなく、求め合い、愛し合う。

ずっと前からそうして来たみたいに、とても自然な流れで時間が過ぎて行く。

その時間が、遥希を選んだことは私にとって正解だったんだって思わせてくれる。



だからこれから何があっても、大丈夫。

遥希に安らぎと一緒に勇気をもらい、転職に向け、自分を奮い立たせた。