気まぐれな君も好きだから

ビーチ用品コーナーの完成度に納得がいったから、バイトに後片付けを頼んで、売場を後にした。

思うように処分の進まない春物のレジ割引き額を調べるため、二階に降りて行くと、フーズフロアの売り込みの時間帯だからか、事務所には誰もいない。



売場はいつも賑やかだから、静かな事務所に一人でいると落ち着く。

売り上げレポートに目を通していると、階段を上がって来る足音がした。



顔を上げると足音の主は遥希で、目が合った途端、パアッと明るい顔になったと思ったら、キョロキョロと辺りを見回し、すごい勢いで私の横に来て座った。



「歩未、店内放送、ありがとう。」



一回だけ協力してあげた店内放送の御礼を言うと、誰もいないのをいいことに、いきなり真横から抱きついてきた。



「コラぁ。ケーキは? 売れたの?」

「全部、三割引きで売れた。あ、でも、最後にドーナッツばっかり残っちゃって焦ってたら、レジのパートさん達が買ってくれるって言うから、1ケースだけ半額にした。」

「ふふふふ......そっか。良かったね。」