とても丁寧にキスを重ねながら、古谷君が私のバスローブをはぎ取り、ベットにカラダを沈める。

あらわになったカラダをゆっくりと指でなぞり、全身にたくさんキスをして、思いを刻み付けて行く。



古谷君から溢れるほどの強い気持ちが伝わって来る。

だから、今、この瞬間はとても幸せなはずなのに、切なくてどうしても涙が滲んでしまう。

その涙を指で、キスで拭いながら、古谷君は何度も名前を呼んでくれた。

名前の後に、きれいだよ、愛してるよ、って囁きながら。



夢を見ているみたいだ。

こんなことは、絶対にあり得ないと思ってたのに。

カラダ全体で古谷君を感じて、恥ずかしいくらい夢中になって、気付けば、両手を組み敷かれ、乱れた表情を見つめられたまま、何度も快感のピークを迎えていた。

初めて肌を合わせたとは思えないくらい、心もカラダも深く満たされ、こうして本当に良かったって思えた。

後悔なんて、微塵もなかった。



これが最初で最後の夜なんだと思うと、胸が締め付けられる。

でも古谷君の気持ちは痛いほどわかったし、私を思ってくれるが故の結論だということも理解はできる。

諦めることは辛くても、それが古谷君なりの愛情なら、やっぱりここで決断するべきなんだと思う。



そうしなければ、私達はここから前に進めない。

だから古谷君の思いを汲んで、私も彼を諦めよう。

それが私なりの彼への愛情だとも思うから。