気まぐれな君も好きだから

「離してよ。」

「帰れんの?」

「古谷君には関係ないでしょ。」

「..........。」



古谷君の左手が私の肩を掴んで、壁に押し付ける。

右手が頬のすぐそばにドンと突かれ、顔が近付いて来る。

いわゆる壁ドン状態で、目をじっと見つめられる。



「話、聞いてよ。ちゃんと話すから。」

「..........。」

「隠してたのは謝る。でもこの前、お前に言ったのは、全部本当の気持ちだから。」

「うそ。」

「嘘じゃねぇよ。」

「じゃあ、なんで? なんで彼女なんか.........。」

「.......そうでもしないと、お前のこと、諦められないから。」

「..........。」



またそんなことを言う。

もう騙されないんだから。

そう思うのに、涙がじわっと滲んで来て、古谷君の顔が霞んで見えない。

口を真一文字に結んで、視線を落としたら、古谷君の顔がもっと近くに来て、唇を開いた瞬間、温かくて柔かいものが触れた。



........私、キスされたの?

どうしてそんなことするの?



ずるいよ。

「好き」って言ったら困らせちゃうから、絶対言わないって言ってたくせに。

これじゃ言葉よりも強く、好きな気持ちが伝わって来ちゃうじゃない。

私だって、古谷君を好きな気持ちを、どんどん思い出しちゃうじゃない.........