「御主人様っ!」
なんとか手を振りほどいてキッと御主人様を見上げる。
「当店では店外でのサービスは提供しておりません。」
「俺客じゃねぇ。」
「だったらなおさら「いいから着いてこい。」
話通じないな!この馬鹿!
「御主人様、いい加減に―「黙れよ。」
…慧が、怒ってる。
初めて見る表情とその気迫に圧倒されて、思わず口をつぐんでしまった。
もう一度あたしの手首を掴んでズカズカと歩き出す慧。
慧の大きい手はあたしの手首を掴んでも余る。
さほど力を入れてる訳でも無いのにほどけないのはなんでだろ。
普通こういうとき痛い、って言えるのに、そんな優しく掴まれちゃったら全然痛くないし言えないじゃんバカ。
なのになんでほどけない!
