「…見つけた。」


メイドカフェなんかに似つかわしくないオシャレなイケメン。

聞き慣れた甘い声が右耳から左耳へ流れて行く。


なんで。

どうして。


なんでここに慧が居るの。




…落ち着け。相手は御主人様だ。


「お席へご案内します♪」

二週間挟んだおかげか、声が震えることは無かった。

笑顔も百点だ。





「コイツ、貰ってくんで。」

なのに慧はあたしの百点の笑顔にほだされることもなく

あたしの手首を掴んでレジに立ってるメイドに了承を得ただけだ。

「…はっ、はい…。」


キモオタばっかのメイドカフェに突如現れたイケメンにどのメイドもぽーっとなってる。

いいなぁ…、なんて呟きすら聞こえてきた。



てか誰か止めてよ!


あたし拉致られてんだけど!


「あの、御主人様…「うるさい。」

抗議の声も虚しくそのまま外に連れ出された。

はぁ?!いくら御主人様だからって横暴過ぎにも程があんでしょ?!


金払ってねぇヤツは御主人様って認めませんけど?!