恋愛なんて、めんどくさい。



外に出て、思わず慧に電話を掛ける。


『ん~…、もしもしぃ…』

寝起きみたいな掠れた声がする。

「もしもし、慧?」


『おぇ?寧々から電話とかめずらしー…ってか初じゃね?』


「ごめん、寝てた?」


『んにゃ。今起きたー。なになに?デートのお誘い??』


「んん。ちょっと聞きたい事があって。」


『おー、どしたー?』


「“フカミヤマサキ”って聞き覚えある?」


あたしが病室を出る寸前、

―あなたのお父さんの名前は、フカミヤマサキ!!―


あの人は確かにそう言った。


“フカミヤ”なんて名字、結構あると思うけど、もしかしたら知り合いかもしれないと思って電話してしまった。



なんとなく、ちょっとした出来心で。

知り合いじゃなきゃそれでいいし、知り合いだったとしてもどーでもいい。


ちょっと魔がさしただけ。


『…姉貴から、聞いた?』


「…知ってるの?」