「あれ?寧々ちゃんがニヤけてる~♪」


「別にニヤけてません。」
「珍し~!写メっちゃおうかしら。」

だから、この人は…


…もういいや。

「…ゴム借りますね。」

適当に一つに結んで、更衣室に引っ込む。


「ちょっと、またいつものオバサン結び?もったいないわよ、若いのは今だけなんだから!」

…バイト中は老けて見せたいんですけど。


店長の下らない話は無視して、バイトの制服に着替えながら、考える。




彼氏…、彼女…。



あたし、深宮の彼女になれるのかな…


そもそもあたしは深宮の彼女になりたいの?


“付き合う”なんてクソめんどくさい事に手を出したいの?


深宮は彼女作らないんだよね…。


でも、あたしに好きって…


あれはなんでも無い一言だったのかな…。


じゃあなんなの?


深宮とあたしの関係はなんになるの?


友達?

セフレ?

やっぱり――






「――ちゃん、寧々ちゃん!」

「っ?!」

肩を揺すられて目を開けると、驚いたカオをした店長が。


「びっくりした…。何十分たっても出てこないから何かあったのかと…。まさか立ったまま寝てるとはねぇ…。」


あたし立ったまま寝てたの?!