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「…だからさー、逃げて来たんだよ。誰も知らないところで、誰にも関わらずに独りで生きて行こうって決めたの。」



ひとりになりたかった。

楽になりたかった。



ただその一心で


「でも失敗した。計画狂っちゃった。」


「……?」


「坂下店長のせいで。」

―私の事、本当のお母さんだと思っていいからね!


「優美のせいで。」

―私達、今日から親友だよ!


「……深宮のせいで。」


店長と話すのが楽しい。

優美と居るのが心地いい。


こんなこと素直に思えるようになったのも、深宮と出会ってからだ。



ひとりが寂しい。

深宮と一緒に居たい。


こんな事考えるようになったのも、全部深宮のせいだ。


「…俺、好きだわ。柊の事。」
「はぁっ?!」


今の話の流れで、何でそうなるの?!


「柊が、好きだ。」


「………っ!!」

2回も…っ!!


体温が上昇したのを隠したくて顔を背ける。



「……。」

からの無言。…って、なんじゃそりゃ!


ツッコミも兼ねて振り返ると、赤面してる深宮。


「…こっち見んな…」

「やだ。見る。」


わざと距離を詰めて、顔を近付けると赤みが増す深宮の顔。


思ったけど深宮って、結構赤面症だよね…。