その言葉を聞く前に、
部長は静かな寝息をたてて、
安心したように眠りについた。
…しっかりと、私の手を握ったままで。
こうやって部長の手に触れたのは初めてだなあ…
いつも頭を撫でられるけど。
骨張ってて、
大きくて
包み込むような優しい手。
切れ長の目とか、
風になびくさらさらな髪とか、
部長に魅了的なところはたくさんあるけど、
「…惹かれるようになったのは、
この手だったなぁ…」
そんなことを思いながら、
部長の手を今までよりも、しっかりと
握る。
すると、部長の長いまつげが僅かに
揺れた。
「あ…っ、危ない…
起こしちゃいそうだった…」
ずっとこうしてたら私の心臓が
もたない。
私は部長を起こさないように、
そっと手を離し、寝室を出た。


