鬼部長の優しい手






「い、生きていたらって…っ」



「…塚本と紗耶香はね、
結婚式の日程まで決めてて
それを私がプランニングするはずだったの」


「はずだった…」



香澄先輩の予想外の言葉に
驚きを隠せない私。



不安と疑問と驚きで、
私の声は震えてた。

淡々と話してみえる先輩も、
心ここにあらずって感じだ。




「結婚式の三日前、
塚本が風邪を引いてね

…紗耶香は風邪を引いた塚本の
看病をするために、会社を早退して」






先輩がそこまで話したとき、
その場になんともいえない緊張感が
はしった。

その空気に
私は思わず息をのむ。







「…塚本の家に向かう途中、
紗耶香はスーパーで冷却シートと
ある程度の食材を買って、



…横断歩道を渡ってたとき、
赤信号を無視した車が突っ込んできて…。


病院に運ばれたけど、そのまま
亡くなったわ。

即死だったって。」