鬼部長の優しい手




「アイスココアね。

じゃあ店員さん、アイスココア一つと
ダージリンティーと、この
桃とレーズンのケーキ一つ」




少し関心していた私をよそに、
さくさくと注文する香澄先輩。



「先輩ってレーズン好きなんですか?」

「うん、まぁね。
七瀬は嫌い?レーズン」

「そうですね…どちらかと言えば…」



“かしこましました”と店員さんが去ったあとで、そんな他愛もない話をする。

本当は部長の話が聞きたいけど
私からきりだすのも気が引けるし…




「ああ、そうそう。
レーズンの話がしたかったんじゃないの。






何から話そうか。色々あるのよね…」




さっきまで、楽しそうに笑っていた
香澄先輩はそう言って急に真剣な顔つきになる。

そんな先輩の様子に
思わず、ごくんっと生唾を飲んだ。