鬼部長の優しい手





「…え」



部長のことだから、きっと慌てるか
困った顔をしてるんだろうって
思ってた


けど、
覗き込んで見えた部長の顔は
今にも泣き出しそうな、
悲しい表情をしていた。






「部長…?どうかしたんですか?」


つい心配になり、そう聞いてみる。



いつも眉間にしわを寄せて、
鬼の形相をしてる部長が
こんな顔をするなんて…



「い、いや、なんでもない。
なんでもないんだ…」


「部長…?」



「…ちょっと、一服してくる」




「え?ちょっと!?部長…!?」



部長は一度も振り返ることなく、
スタスタと喫煙ルームに行ってしまった。







部長があんな顔するなんて…

なんかしたっけ、私…






「あらら…地雷踏んじゃった」


「地雷?地雷って、なんですか?」






香澄先輩はボソッと呟いたかと思うと
私の言葉に少し困った顔をして
考え込んでしまった。






「うーん…七瀬ならよさそうね…




塚本だって、いつまでもこのままじゃいけないし」