鬼部長の優しい手




…っだから!!
部長の笑顔は色々と反則なんだってば!



絶対わかってないな、この人…
わかってないから、よけいに
質が悪いんだよ




「あ、七瀬

ほら。」


「え?ほらって…?」



さっきまで笑顔だった部長は
不意に真剣な顔つきで私に手を
差し出してきた。



「せっかく会ったんだ。
送ってく。夜道で女一人は危ないからな」



「じゃ、じゃあお願いします…」


ふわっと笑った部長の手を私は戸惑いながらも掴んだ。














暗い夜道を二人きりで歩く

前にもこんなことがあった
静かな帰り道で、部長に送ってもらって
…あのときは花束までくれたんだっけ…

普段の“鬼部長”からは考えられない笑顔で…




予想外の花のプレゼントに
戸惑ってたなぁ…私






でも…戸惑いながらも
少しだけ…いや、かなり嬉しくって








あ、やばい
あのときのことを思い出したら、
なんか頬が緩んできた…

部長にバレてないかな?
バレてないよね…?






そう思って、隣を歩く部長の顔を
こっそり盗み見る。