鬼部長の優しい手





薄暗くて周りがよく見えない。

お店の看板の、わずかな光をたよりに
細い道をとぼとぼと歩く。





…帰ったら、もう寝よう。
あ、その前に録画してたドラマ見よう
お風呂は朝入ればいいし。



なんか、もう
今日は疲れた…





そんなことを考えながら
音をならすヒールに目線を向け、
下を向きながら弱々しく歩く。




「部長は今なにしてるかな…」



まだ、仕事してるかな。
あの人のことだから、無茶しそう…
残業なんかやってるかも。







ぼーっと、そんなことを考えながら
私はふと、腕時計を見る
腕時計が差した時刻は11時27分。







…部長、まだ会社にいるかな…




…いってみようかな
いやいや、行ってどうする?
なんの用事もないのに…
帰ろう、うん。


帰って、ドラマ見て寝よう。
















…部長、ちゃんと仮眠とってるかな…








あー、もう!うだうだしてたって
仕方ない。
行こう、会社!