鬼部長の優しい手




そんな山本くんを見ても
思い出すのは部長の顔。





これは、ちょっと重症だな…



「大丈夫だよ。気遣ってくれてありがとう、山本くん」

「でも、山本くんだって、
まだ黛実と居たいでしょ?」



最後の言葉はわざと声のボリュームを
下げて、山本くんにだけ聞こえるように
囁いた。




すると、山本くんの顔は
みるみるうちに熱が集まり真っ赤になっていた。




ほんとわかりやすい!


そんなことを考えながら、
私は小さく微笑んだ。






「じゃあね。私のことは気にしなくていいから、楽しんで!」








私は、そう言ってテーブルの上に
二千円を置き、強引に店を出た。