鬼部長の優しい手




「…部長、私の足から口でガーターベルト外すの?」

「当たり前じゃない!」


私の質問に満面の笑みでそう答えた黛実。


や、やっぱり!
無理無理無理!そんなのたえられない!


「そんなの無理だって!
第一、部長が了承するはずないでしょ!?」

「部長は、やるって言ってたわよ?」


驚く私をよそに尚もにっこりと
微笑みながらそう言った黛実。
普段は綺麗なその笑顔が、今の私には
悪魔の微笑みにしか見えなかった。


…だって、足からとるってなったら、
部長が跪いて、
私のドレスをたくしあげて…

って、なに考えてんの私!


「あ、涼穂赤くなってる!
なに想像したの?やらしー」

「ち、違うよ!」


慌てる私を、楽しそうにちゃかす黛実。


もう!他人事だと思って
いきいきしちゃって!


「七瀬ー、ご両親が来たみたいよ。」


未だ顔を赤くする私の耳に届いた香澄先輩の声。

ガチャっと扉を開けて香澄先輩と
入ってきたのは優しそうに笑った、
大好きなお母さんとお父さん。



「お母さん、お父さん…」


「涼穂…綺麗よ。昔の私にそっくり!」


無邪気にそう言って笑うお母さん。

お茶目なところも相変わらず。

私は思わず、小さく笑った。