鬼部長の優しい手


じゃーん、と自慢げに笑い、
普段見慣れないそれを私に見せる黛実。


「これ…、ガーターベルト?」

「そう!」


黛実が見せてくれたのは、
白いレースに細く青いリボンが装飾された可愛らしいガーターベルト。

…これを見せるってことは、これを
つけてってことだろうけど…
これをつけるってことは…

「ね、ねぇ黛実?これつけるんだよね?」

「もちろん!そのために用意したんだから。」

「じゃあ、つけるってことは…」


嫌な予感しかしない…。

私は息をのんで黛実の言葉を待つ。

「もちろん、
ガータートスやるつもりよ?
香澄先輩にも、もう伝えたし。」


や、やっぱり!


…サムシングブルー。
サムシングフォーのひとつで、
なにか青いものを意味する。

サムシングブルーは主に青いガーターベルトを他の人に見られないところ、
ドレスのしたの太股につけるのが基本。
片方は産まれた赤ちゃんのヘアバンドと
して使うのが一般的で、
もう片方は…


「いやー、楽しみね!ガータートス!
私ブーケトスより楽しみかも。」

そう言ってにやにやと私を見つめる黛実。

もう!黛実、他人事だと思って!



…サムシングブルーの青いガーターベルトは、赤ちゃんのヘアバンドとして
使われるのとは別の、もう片方は、
新郎が手を使わず口で新婦がつけてるガーターベルトを外し、参列した男性たちに向けてそのガーターベルトをなげる。

そしてそのガーターベルトをとった人が
次に結婚できる、
ブーケトスの男性版のようなもの。

いや、トスはいいんだよ?でもね、
その前の…