鬼部長の優しい手




私のその言葉に、
山本は両手で顔を隠し、俯いたまま
ビクッと体を揺らした。



「や、あのー…

つい、口が滑って…
とか、言ってる場合じゃねぇよな…
こんなこと言ってるから、
いつも黛実ちゃんに伝わらないんだ」


「え、あの…
山本?」



山本は急にバッと顔をあげたかと思うと
ぶつぶつとなにかを呟き、
大きく息を吸って
真剣な表情で私を見た。



…なんか、なにこれ
なにこの緊張感。
本当に?今?



私は高鳴る胸を山本に
悟られないように、緊張していることを知られないように、ぎゅっと目をつぶった。




「…俺の目を見て黛実」

「…っ」




なんで、急に呼び捨てすんのよ!



山本の言葉に、私の鼓動はより一層
スピードをあげた。





きっと、今目を開けたら、
焦ってるのがバレちゃう。

でも、こんなときぐらい、
素直に




私は意を決して、ゆっくりと目を開けた。