鬼部長の優しい手




う…っ周りの人達の視線が痛い!



部長は全然離してくれないし、
ケータイの時計によるともう
11時なんて、とっくに過ぎてるし、



これは、ほんとに参ったな…





「…」


どうしようか、あたふたしていると
未だ私に抱きついたままの部長から
規則正しい寝息が聞こえてきた。



え?嘘でしょ?


部長!?




「部長!塚本部長…っ!

こんなとこで寝ないでください~…っ!」





どれだけ叫んでも、部長が起きる気配は
全く無し。



とりあえず、部長を送ろう…






「部長!部長!

部長の家どこですか?」



うっすら目を開けた塚本部長。




「ん…家?


この裏道抜けた…とこにある…
マンション…」



「マンションですね!?

マンションの特徴とか、あります!?」




再度、部長に大声で聞く。



なんだか母親になった気分…

まさか、27にして
190㎝近くの子供ができるなんて…




そんなくだらないことを考えながら
部長を送るため近くを通ったタクシーを
止める。




っていうか、普通逆じゃない?

まぁ、いいけど…。